思い出のタータンチェック

文章:多久美

今から52年前、中学2年生の冬だった。

和裁が得意な母が私達姉妹にウール素材の洋服記事でマフラーを作ってくれた。

柄はタータンチェック。妹には赤と紺色。私はカラシ色と深緑。

地味な紺色の制服の襟元に大きくフワリと巻くと、とてもオシャレに見えた。

それがきっかけで私はタータンチェックが大好きになった。67才になっても、冬になると、Vネックのセーターにタータンチェックのシャツという組み合わせが一番気持ちを落ち着かせてくれている。

 

今年は暖冬だ。そのためなのか、いつもはパンツしかはかない私だが無性にスカートがはきたくなった。それもトランディショナルなタータンチェックのヒダスカート。しかし流行が目まぐるしく変わる衣料業界。まして高山では到底手に入れることはできないと諦めていた。

 

先日、家庭用品を買いにリサイクルショップに入った。

何か予感がしていつもは立ち寄ることの無い衣料品コーナーをのぞいてみた。

大量の衣料品がギッシリと吊るされたハンガーの間を通り抜けていると、突然タータンチェックが目に飛び込んで来た。

胸が高鳴った。急いでそばに行ってみると、ワイン色を基調にしたタータンチェックのヒダスカートと、同じくモスグリーンのタイトスカートが2枚吊り下げられていた。

新品同様で両方ともウール100%。そして値段はなんと1枚100円。試着したらサイズもピッタリ。嬉しくて天にも昇る気持ちだった。

 

まるで私の気持ちを察したかのように目の前に現れたスカート。

前の持ち主はどんな女性だったのだろうか。到底会えるはずの無い人だとは思うが、このスカートを身に付けて町を歩いていたら、ひょっとして奇跡が起きてその人に声をかけられるかもしれない。

その時は「素敵なプレゼントをありがとうございます」と心から感謝の言葉を伝えたいと思う。

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