「夏虫の谷から」第11号 木童工房かわら版

「夏虫の谷から」第11号 木童工房かわら版2008年6月2日(月)

文章:関西多久美
イラスト:関西恭子

※この記事は2008年6月2日に発行した、木童工房の近況を伝える「夏虫の谷から」木童工房かわら版をブログ用に訂正したものです。

飛騨地方では遅い春が終盤を迎え、生きているのだぞという地球の意思表示なのでしょう、もろもろの植物が勢いよく葉をしげらせています。
春になると例年、自宅の庭に記憶にない花が咲き出し、驚かされます。何のことはない、昨年いきあたりばったりに球根や苗を植えておいたのが、時節到来で花を咲かせたのです。
私は植えたことも花の名前も忘れているのですから、ただ驚くばかりです。
これも春がくれる特別のプレゼントのようで、大変うれしいものです。

田んぼに水がはられ、突然巨大なダムが出現したように水面が見渡す限り連なります。
田植え前なので、周りの景色が水面にプリントされたように鮮やかに映っています。
特に月の明かるい夜の田に映る景色は、夢かまぼろしかと迷うほど美しいものです。善と悪、本音と建て前、表裏一体。
毎年幻想的な景色を見ながら人の世の成り立ちを考えてしまいます。

水が張られた田んぼに風景が映り込む

91歳の同窓会(巳午会)

4月28日、今年もまた91歳の母を長野県駒ケ根市で開かれた同窓会に連れてゆくことができました。巳午会が発足して50周年という記念すべき会でした。今年は10名の方が集まりました。当然のことながら、毎年出席者は減っていきます。
会は盛況で「信濃の国」や「校歌」を大声で歌って、賑やかで温かい会話のはずむ素晴らしい宴席となりました。会に集まったお年寄りの共通点は、声に張りがあり眼がきれい。そして足が丈夫。なによりも性格が明るいなどなどです。
私の母はどれにも当てはまらないような気がしますが、ご先祖様から長生き遺伝子をもらってきたのでしょう。まだまだ元気です。
母は長男がすべてという封建的な考え方の人で。かつて、嫁に行った娘なんかに世話になることなどみっともなくてできないと豪語しておりました。しかし思いと反対が現状です。母を見ていて、私は娘達に頼んでいます。「私が年をとって何にもできなくなったらお願いネ」…と。

91歳の同窓会の方々

慕情 Love is a many-splendored thing

ジェニファー・ジョーンズ演じるハン・スーインの後ろ姿妹が映画「慕情」のビデオテープを貸してくれました。17歳のころ、初めてこの映画を観て、劇中のワンシーンが悲しくて思い出しては泣いていたほど感動した作品です。
1949年英国領香港を舞台にした、混血の女医と新聞社の特派員の悲恋物語です。
ハン・スーインという実在した女医さんの著作を元に映画化された物語でいわばノンフィクションに近いものです。映画の主題歌はアルフレッド・ニューマン。その甘くせつないメロディは今でも大勢の人々に愛されています。
この映画にすっかり魅せられてしまった私は、チャイナカラーの洋服を好んで着るようになり、ついには神田の古書店街で偶然映画のシナリオを見つけて夢中でセリフを覚えました。大学生のころです。
今、60歳になって改めてこの映画を観ますと主演のウィリアム・ホールデンとジェニファー・ジョーンズがすごく大人だったんだなぁと気づきました。そして高校生の時、胸がはりさける程の悲しみを感じた場面。
女医のハン・スーインが朝鮮戦争で死んでしまったマーク・エリオットから届いた手紙を握りしめてつぶやきます。
「彼は死んだけれども、彼の手紙は私の元へ次から次へと届く One by one」
そしていつもデートをした丘に来てマークのまぼろしを見ます。
「Give me your hand」
やはり泣けました。

17歳から60歳まで43年間。楽しいことより苦しいことの多い私の人生でした。その間心の中に知らず知らずためてしまった汚れた感情の「どろ」の奥に、わずかな量の清冽な水の流れがあったことをこの映画が教えてくれました。

今月のおすすめ本

浅田次郎著 「天切り松 闇語りシリーズ」
第一巻 闇の花道
第二巻 残侠
第三巻 初湯千両
第四巻 昭和侠盗伝
読み出すと止まりません。歴史の流れも分かりますし、何より登場人物がとびっきり魅力的です。

アクティブGの展示会 4月9日(水)〜4月24日(木)

「木の素顔展」という題で岐阜のアクティブGで展示会をさせていただきました。仕上げはオイルに限定して、一枚板の小テーブルや子ども椅子。ゴーフレットスツール等約50種類以上の木の製品を出展いたしました。
木の魅力を身近な日用品から知っていただこうと私も象や魚、鳥をかたどったカッティングボードを作って出しました。以外にも好評でした。壁に飾る、お皿に使う。
お客様から沢山のアイデアを頂きました。ありがとうございました。

冷え込み

5月27日の朝、清見町から車で20分程行った荘川町六厩で、最低気温がマイナス0.1度という、初夏では考えられないような冷え込みとなりました。この日の国内観測地点では最も低い記録だそうです。作物の生育への悪影響が懸念されています。

東海北陸道全線開通

今年平成20年7月5日に飛騨清見ICから白川郷ICまで25kmの区間が開通します。
25kmのうち20kmはトンネルですから景色は楽しめませんが、高山から白川郷まで45分という短い時間で行くことができるようになります。
そうなると清見町は過疎化に拍車がかかります。現に道の駅の売り上げが1/3までに落ち込んでいます。
木童工房も2〜3年前からデザインを変えたり、小物を増やしたりで方向転換をしてまいりました。オーダーでも、ささいなことからでも皆様にお声をかけていただけるとありがたいと思っております。宜しくお願い申し上げます。

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